「子どもの教育資金、学資保険に入るべきかな…」
そんな悩みを抱えているあなたへ。この記事では、なぜ学資保険が必ずしも最適な選択肢ではないのか、そして本当に効率的な教育資金の貯め方について徹底解説します。
なぜ今、学資保険を見直すべきなのか
子どもが生まれると、多くの親が「教育資金をどう準備するか」という課題に直面します。そして、保険会社の営業マンや銀行の窓口で「学資保険なら安心ですよ」と勧められ、深く考えずに加入してしまうケースが後を絶ちません。
しかし、ちょっと待ってください。
学資保険は本当にあなたの家庭にとって最適な選択肢でしょうか?実は、多くの家庭にとって学資保険は「非効率な貯蓄方法」である可能性が高いのです。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
-
学資保険の本当の利回りとそのカラクリ
-
なぜ学資保険が「お金を増やす」という観点で非効率なのか
-
教育資金を準備するより効果的な方法
-
それでも学資保険が向いている人の条件
では、一つずつ見ていきましょう。
学資保険の基本的な仕組みを理解する
まず、学資保険がどのような商品なのかを正しく理解することが重要です。
学資保険とは何か
学資保険は、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品です。毎月一定額の保険料を支払い、子どもが15歳、18歳などの節目に祝い金や満期保険金を受け取れる仕組みになっています。
一見すると「強制的に貯蓄できる」「保険機能もついている」と魅力的に見えますが、実態はどうでしょうか。
学資保険の典型的なプラン例
具体例で見てみましょう。
プラン例:
-
月払保険料:15,000円
-
払込期間:18年間
-
総払込保険料:324万円(15,000円×12ヶ月×18年)
-
満期保険金:330万円
-
返戻率:101.9%
一見すると、324万円払って330万円受け取れるので「お得」に見えます。しかし、これは表面的な数字に過ぎません。
学資保険が必要でない5つの決定的な理由
理由1:実質的な利回りが極めて低い
先ほどの例で返戻率101.9%と聞くと「1.9%増える」と思いがちですが、これは大きな誤解です。
実質的な年利を計算すると:
18年間で324万円が330万円になるということは、年利に換算するとわずか約0.1%程度です。これは複利計算で考えると、ほとんど増えていないに等しい数字です。
比較してみましょう。
-
学資保険の実質年利:約0.1%
-
銀行の定期預金:0.002%〜0.3%程度
-
個人向け国債(10年):0.5%前後
-
投資信託(インデックスファンド):年率3〜7%程度(過去実績)
つまり、学資保険は「定期預金よりは少しマシ」程度の利回りしかないのです。
理由2:インフレに対応できない
日本は長らくデフレが続いていましたが、2022年以降、明確にインフレ傾向に転じています。政府・日銀も2%のインフレ目標を掲げています。
インフレ時に学資保険で何が起こるか:
年率2%のインフレが続くと仮定すると、18年後のお金の価値はどうなるでしょうか。
-
現在の100万円の価値 → 18年後は約70万円相当の購買力
つまり、330万円を受け取っても、その実質的な価値は現在の231万円程度にまで目減りしてしまうのです。払込総額が324万円ですから、実質的には大幅なマイナスになります。
教育費も当然インフレの影響を受けます。18年後の大学費用が現在より高くなっている可能性は十分にあります。固定金額しか受け取れない学資保険では、この変化に対応できません。
理由3:資金の流動性がない(途中で引き出せない)
学資保険の最大のデメリットの一つが、資金の流動性の低さです。
困るケース:
-
子どもが中学受験することになり、まとまった資金が必要になった
-
親の病気や失業で家計が苦しくなった
-
マイホーム購入の頭金が必要になった
-
事業を始めたいが資金が足りない
こうした予期せぬ事態が起きても、学資保険は簡単には解約できません。解約すると大きく元本割れするからです。
解約返戻金の現実:
例えば10年間払い込んだ時点(総額180万円)で解約すると、返戻金は150万円程度になることも珍しくありません。30万円もの損失が発生するのです。
つまり、学資保険に加入すると、長期間お金が「凍結」されてしまうのです。
理由4:保険料控除のメリットが小さい
「でも、学資保険は生命保険料控除があるから税金が安くなるでしょ?」という声が聞こえてきそうです。
確かに学資保険は生命保険料控除の対象になりますが、その効果は限定的です。
控除額の上限:
-
所得税:最大40,000円の控除
-
住民税:最大28,000円の控除
実際の節税効果:
仮に所得税率が20%の世帯の場合:
-
所得税の軽減額:40,000円×20% = 8,000円
-
住民税の軽減額:28,000円×10% = 2,800円
-
年間の節税額:10,800円
18年間続けても総額約19万円程度の節税効果しかありません。これは、より高利回りの運用方法で得られるリターンと比べると、微々たるものです。
理由5:他の選択肢の方が圧倒的に有利
最も重要なポイントがこれです。教育資金を準備する方法は学資保険だけではありません。そして、多くの場合、他の方法の方が圧倒的に有利なのです。
比較:324万円を18年間運用した場合
同じ金額を月々15,000円ずつ18年間積み立てた場合の最終金額を比較してみましょう。
-
学資保険(年利0.1%):約330万円
-
銀行預金(年利0.1%):約330万円
-
個人向け国債(年利0.5%):約340万円
-
投資信託・年利3%運用:約420万円
-
投資信託・年利5%運用:約525万円
年利5%で運用できれば、同じ払込額で195万円も多く受け取れる計算になります。これは学資保険の返戻金(6万円の増加)の30倍以上の差です。
「でも投資は怖い」と思うかもしれません。しかし、長期・分散・積立投資の原則を守れば、リスクは大幅に軽減できます。
「それでも保険は安心」という心理の罠
ここまで読んで、それでも「保険」という言葉に安心感を覚える方もいるでしょう。その心理は理解できます。しかし、その「安心」は本当に合理的でしょうか。
学資保険の「保障機能」の実態
学資保険には契約者(多くは親)が死亡した場合、以降の保険料支払いが免除され、予定通り保険金が受け取れる機能があります。これが「保障」として宣伝されています。
しかし、よく考えてください。
死亡保障が必要なら別途掛け捨て生命保険に入る方が効率的です。
例えば、30歳男性が3,000万円の死亡保障を得る場合:
-
掛け捨て定期保険:月額約3,000円
-
学資保険に含まれる保障:実質的な保険料部分は不透明
学資保険の保険料のうち、何割が「保障」に使われているか明示されていません。そして、保障額も限定的です。
合理的な考え方:
-
死亡保障は掛け捨て生命保険で安く確保する
-
教育資金は別の効率的な方法で貯める
この方が、同じ総支払額でより大きな保障とより多くの貯蓄を実現できます。
「強制力」は本当に必要か
「自分は貯金が苦手だから、学資保険の強制力が必要」という意見もよく聞きます。
しかし、強制力なら他の方法でも実現できます。
強制的に貯蓄する方法:
-
給料天引きの財形貯蓄
-
会社員なら給料から自動天引き
-
目的を「教育資金」に設定可能
-
-
銀行の自動積立定期預金
-
給料日に自動で別口座へ移動
-
ネット銀行なら手数料無料
-
-
つみたてNISAの自動積立
-
毎月自動で投資信託を購入
-
非課税メリットも大きい
-
-
別口座を作って即座に移動
-
給料が入ったら即座に別の口座へ
-
物理的に「触れない」状況を作る
-
これらの方法なら、学資保険と同じ「強制力」を持ちながら、より高い利回りと柔軟性を確保できます。
教育資金を効率的に準備する5つの賢い方法
では、学資保険を使わずにどうやって教育資金を準備すればいいのでしょうか。具体的な方法を5つご紹介します。
方法1:つみたてNISAを最大限活用する
2024年から新NISA制度が始まり、教育資金準備の最有力候補になっています。
新NISAの教育資金活用法:
-
つみたて投資枠:年間120万円まで(月10万円)
-
成長投資枠:年間240万円まで
-
非課税期間:無期限
-
生涯投資枠:1,800万円
具体的なプラン例:
子どもが0歳の時から月3万円ずつ、18年間つみたてNISAで全世界株式インデックスファンドに投資した場合:
-
総投資額:648万円
-
想定年利5%で運用した場合の最終額:約1,020万円
-
運用益:約372万円(全額非課税!)
学資保険の6万円の増加と比べて、実に60倍以上の差が生まれます。
リスク管理のポイント:
-
全世界株式や全米株式など分散された商品を選ぶ
-
毎月定額を積み立てる(ドルコスト平均法)
-
短期的な値動きに一喜一憂しない
-
15年以上の長期で考える
歴史的に見て、15年以上の長期投資では元本割れのリスクは極めて低くなっています。
方法2:ジュニアNISAの継続活用(既に開設している場合)
ジュニアNISAは2023年末で新規受付を終了しましたが、すでに口座を持っている場合は継続して非課税メリットを享受できます。
ジュニアNISAの特徴:
-
18歳まで非課税で運用可能
-
2024年以降はいつでも引き出し可能(ペナルティなし)
-
すでに投資している分は最大5年間非課税
既に開設している方は、そのまま活用し続けることをお勧めします。
方法3:銀行の積立定期預金+個人向け国債の組み合わせ
「投資はどうしても怖い」という方には、元本保証の商品の組み合わせをお勧めします。
安全重視のポートフォリオ例:
-
積立定期預金:月1万円
-
ネット銀行の定期預金(金利0.2%程度)
-
緊急時にも引き出しやすい
-
-
個人向け国債(変動10年):まとまった額で購入
-
最低金利0.05%保証
-
市場金利に連動して金利が上がる可能性
-
1年経過後はいつでも換金可能
-
-
子ども用口座での積立:月5,000円
-
児童手当をそのまま貯蓄
-
子ども名義で管理
-
この組み合わせなら、学資保険よりも高い利回りと柔軟性を確保できます。
方法4:児童手当を全額貯蓄
児童手当は第1子・第2子で総額198万円(2024年時点)が支給されます。これを全額貯蓄に回すだけでも、大きな教育資金になります。
児童手当の賢い活用法:
-
専用口座を作り、児童手当が入ったら即座に移動
-
その口座には絶対に手をつけない
-
余裕があれば、児童手当分を投資に回す
児童手当だけで200万円近く貯まれば、国公立大学の4年間の学費(約240万円)の大部分をカバーできます。
方法5:教育費専用口座で「見える化」管理
シンプルですが効果的な方法が、教育費専用の銀行口座を作ることです。
専用口座のメリット:
-
教育資金がいくらあるか一目瞭然
-
生活費と混ざらないので使い込まない
-
家族で共有しやすい
-
目標額までの進捗が分かりやすい
運用例:
-
ネット銀行で教育費専用口座を開設
-
毎月給料日に自動振替設定(月2万円など)
-
ボーナス時に追加入金(年2回×10万円など)
-
年1回残高を確認して、つみたてNISAや国債購入を検討
この方法なら、いつでも自由に引き出せる安心感と、計画的な貯蓄の両立が可能です。
教育費は実際にいくら必要なのか
ここで、現実的な教育費の金額を確認しておきましょう。
幼稚園から大学までの教育費総額
文部科学省のデータによると、教育費の総額は以下の通りです。
すべて公立の場合:
-
幼稚園:約67万円(3年間)
-
小学校:約193万円(6年間)
-
中学校:約146万円(3年間)
-
高校:約137万円(3年間)
-
大学(国公立):約240万円(4年間)
-
合計:約783万円
すべて私立の場合:
-
幼稚園:約158万円(3年間)
-
小学校:約959万円(6年間)
-
中学校:約422万円(3年間)
-
高校:約290万円(3年間)
-
大学(私立文系):約398万円(4年間)
-
合計:約2,227万円
この金額を見ると気が遠くなるかもしれませんが、重要なポイントがあります。
すべてを一度に準備する必要はない
多くの教育費は「毎月の家計」から支払います。18年間で準備すべきは主に「大学の学費」と「受験関連費用」です。
大学4年間で本当に必要な額:
-
国公立大学:約240万円
-
私立大学文系:約398万円
-
私立大学理系:約542万円
-
私立大学医歯系:約2,357万円
つまり、一般的な進路を想定すると、18年間で300万〜500万円程度を準備できれば十分なのです。
月々の積立額で見ると:
-
目標300万円の場合:月々約1.4万円
-
目標500万円の場合:月々約2.3万円
これを年利3%で運用できれば、さらに少ない積立額で済みます。
学資保険の月1.5万円という金額は決して小さくありません。この金額をより効率的な方法で運用すれば、十分な教育資金を準備できるのです。
それでも学資保険が向いている人とは
ここまで学資保険のデメリットを述べてきましたが、すべての人に不要というわけではありません。以下のような方には学資保険も選択肢になり得ます。
学資保険が向いている人の条件
1. 投資に対する心理的抵抗が極めて強い人
どれだけ説明を聞いても、投資に一切お金を回したくないという方はいます。そういう方にとっては、銀行預金より少しでも増える学資保険は選択肢になります。
ただし、その場合でも個人向け国債などの選択肢を検討することをお勧めします。
2. 自己管理能力に全く自信がない人
貯金用の口座を作っても使ってしまう、自動積立設定をしても解除してしまう、という方には、解約ペナルティのある学資保険の「強制力」が機能するかもしれません。
ただし、この場合も財形貯蓄など他の選択肢を検討する余地があります。
3. 既に十分な資産があり、分散の一環として考える人
すでに数千万円の金融資産があり、そのごく一部を保険商品に分散したい、という場合は学資保険も選択肢になります。
この場合、学資保険は「投資」ではなく「資産の一部を安全資産に固定する手段」として機能します。
学資保険を検討する際の注意点
もし、上記の条件に当てはまり学資保険を検討する場合でも、以下の点には必ず注意してください。
1. 返戻率を正確に理解する
パンフレットの返戻率だけでなく、実質的な年利を計算して比較しましょう。
2. 払込期間と受取時期を確認する
短期払込(10年払済など)の方が返戻率が高くなることが多いですが、月々の負担は大きくなります。家計とのバランスを考えましょう。
3. 複数社を比較する
保険会社によって返戻率は大きく異なります。最低3社は比較しましょう。
4. 特約は極力つけない
医療特約などをつけると返戻率が大きく下がります。特約は別の保険で検討しましょう。
5. クーリングオフ制度を理解しておく
加入後8日以内ならクーリングオフで無条件解約できます。焦って加入せず、よく考える期間を持ちましょう。
今、学資保険に加入している人はどうすべきか
「既に学資保険に入ってしまった…」という方もいるでしょう。その場合の対処法をお伝えします。
加入後の期間別対処法
加入後1年未満の場合:
解約を真剣に検討しましょう。損失は限定的であり、今後の運用効率を考えると早期の方向転換が有利な場合が多いです。
-
解約返戻金を確認
-
損失額を計算
-
他の運用方法で取り戻せる期間を計算
-
総合的に判断
加入後3〜5年の場合:
悩ましい期間です。解約損失と今後の機会損失を天秤にかける必要があります。
-
ファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします
-
シミュレーションを複数パターン実施
-
家計全体を見直す良い機会
加入後10年以上の場合:
既に支払った額が大きいため、多くの場合は継続した方が合理的です。
-
返戻率が100%を超える時期を確認
-
その時期まで継続することを検討
-
新たな教育資金積立は別の方法で
学資保険と他の方法の併用戦略
既に学資保険に加入している場合、無理に解約せず、新たな積立を別の方法で行うという選択肢もあります。
併用例:
-
学資保険:月1万円(継続)
-
つみたてNISA:月2万円(新規開始)
-
児童手当:全額貯蓄
この場合、学資保険は「最低限の保障」と考え、本当の教育資金は新NISAで準備するという戦略になります。
まとめ:教育資金準備の賢い選択
最後に、この記事の重要ポイントをまとめます。
学資保険が必要でない理由(再確認)
-
実質的な利回りが極めて低い(年利0.1%程度)
-
インフレに対応できない(固定金額のリスク)
-
資金の流動性がない(緊急時に困る)
-
税制優遇のメリットが小さい(年1万円程度)
-
他の選択肢の方が圧倒的に有利(年利3〜5%も可能)
あなたが今日からできる教育資金準備
ステップ1:現状を把握する
-
現在の貯蓄額を確認
-
毎月の積立可能額を計算
-
目標金額を設定(300〜500万円が目安)
ステップ2:方法を選択する
-
投資に抵抗がない→つみたてNISA
-
元本保証が良い→積立定期預金+個人向け国債
-
自信がない→財形貯蓄+自動積立
ステップ3:実行する
-
証券口座を開設(ネット証券がお勧め)
-
自動積立設定をする
-
年1回は見直す
ステップ4:継続する
-
短期的な値動きに惑わされない
-
積立額を無理に増やさない(継続が最重要)
-
ライフイベントに応じて調整
最も大切なこと
教育資金準備で最も大切なのは「早く始めること」と「継続すること」です。
完璧な方法を探し続けて何も始めないより、まずまずの方法でも今日から始める方が圧倒的に有利です。時間は子育て世代の最大の資産です。
学資保険という「何となく安心」な選択肢に流されず、データと論理に基づいた賢い選択をしてください。
あなたの子どもの未来のために、そして、あなた自身の将来のために、今日から教育資金準備を始めましょう。
この記事があなたの教育資金準備の第一歩になれば幸いです。